中国の経済成長と消費から見える国民の生活
BRICsの一カ国でもある中国はサブプライムローンの影響も抜けだし、回復へとシフトし始めた。
元々世界の工場として活躍してきた中国であったが、今ではGDPの伸び率も高く、先進国を抜く勢いである。又、外貨準備高もずば抜けており、アメリカ国債の保有数も世界一だ。あのアメリカでさえ今や中国を無視できない若しくは以前のように対抗できないまでに陥ってしまったのである。
人口の数も勝りながら、技術や教育の進歩もめざましい。事実、多数の外資系企業は中国北京大学や理系の最高峰でもある清華大学などと共同で様々な最新技術を開発している。その為研究費も豊富で新たな人材育成も実現できている。
以上のように中国は20年前とは大きく変わり、着々と先進国への階段を上りつつある。
しかし、ここで一つ気になることがある。
それはGDPに対する国内消費の低さである。
通常、国が高度成長期に入ると国民一人あたりの所得も増え、消費も増えるのが一般的である。しかし、中国の国内総生産に対する消費が非常に低い。
マッキンゼー国際研究所のデータによるとアメリカの場合対GDPの国内消費率は7割、日本は5割である。しかしあれだけ海外に商品を輸出し外貨を得ている中国が対GDPの国内消費率は3割にしか満たないという。
理由は様々だが、マッキンゼーとのインタビューの際、中国の大学教授はセーフティネットの不整備が人々の将来に対する不安を煽り、結果お金を貯金に回してしまうのだという。
私はこのインタビュー動画を見た際、NHKの番組「激流中国」にて中国の医療問題を伝える放送を思い出した。
そこには目に病気を持ってしまった息子を持つ夫婦の姿があった。夫婦共働きで稼いだお金を持ち、長時間の長旅の末北京の病院に着く。しかし診察を受けただけで手持ちのお金が殆ど消えてしまい、最悪なことに目の病気は進行し治療を受けないと失明してしまうと宣告される。母親は息子を失明から守るため親戚、知人を回り治療費を集めようと努力する。しかし、既に借金をしており中々集まらないが、後に訪ねた母親の母(患者の祖母にあたる)が手持ちのお金を全て渡した。再度長時間の旅をえてたどり着き目の治療をする息子と母親。しかし一方で優先的に治療を受ける高所得者の子供達・・・。もともと中国では社会主義国家の為、医療などは国が負担していた。しかし大胆な改革後、実質的に医療費は患者が負担することになった。
この放送を見た際、私はこれほどまでに中国の所得格差は拡大し、急激な経済成長に乗り遅れてしまった人々が生活基盤までもが改革によって危うくなり、将来の災難にも備える為、殆どの収入を貯金に回すのは自然な流れだと感じた。
しかし、国民の不安を和らげ国民の消費が伸びない限り、生活水準の向上は望めず、G8など豊かな国を目指すにはまだまだ時間が掛かりそうだ。
現在、中国政府は先進国を目指して様々な政策を行っているが、物理的に広大な土地の上に存在する中国では、中央政府が地方を隅々まで徹底管理するのは難しいのかもしれない。又、今まで閉鎖的だったため市場開放と共に押し寄せた劇的変化に法律やセーフティネットなどの整備が追いついていないのが現状である。又、ウィグル自治区問題や自由市場導入による貧富の差の増大など中国には一先進国として成るまでには様々な問題があり、今後どのように中央政府を始め関係省庁が対処、解決していくか注目が集まるところである。
<参考>
If you’ve got it, spend it: Unleashing the Chinese consumer:
http://www.mckinsey.com/mgi/publications/unleashing_chinese_consumer/index.asp
China’s consumption challenge:
http://www.mckinseyquarterly.com/Chinas_consumption_challenge_2427
激流中国 病人大行列 〜13億人の医療〜:
http://www.nhk.or.jp/special/onair/080615.html