東証上場企業 2年連続で減少 によると東証への上場数がここ2年連続して減少している。
現在、東証は世界第二位の規模を誇る証券取引所だが、第一位のNYSEに比べて取引額が3分の1と少なく、外資の上場数も急激に減少している。しかし一方新興国の市場は着々と成長し、上海証券取引所にいたっては取引額が急激に増加している。この現状に「このままでは日本の株式市場、経済は世界に対する影響力を保つことができなくなるのではないか」と半年前まで思っていた。
しかしサブプライムやリーマンによって引き起こされた世界金融危機の影響で全世界の経済、市場は低迷。無論、新興国の市場インデックスも大きく値を下げおり、新興市場の経済は急激に衰えている。
この一連の動きを見ていて、ふと思ったことがある。
「本当の上場価値とは何なのだろうか?」
一般的に上場することによって短期間に資金を得ることが出来る。
2000年以降、投資や融資に閉鎖的になった銀行等から資金を得ることが出来ず、新興市場に上場することによって短期間に効率よく資金を調達していた。
又、上場すると証券取引所から多くの条件を課せられる。例えば株式総会を定期的に行い、内部統制を構成、実行するなどだ。これにより企業は外部からの目が厳しくなり、会社自ら法令遵守を行う。従い企業その物の社会的信頼度も上がり、結果ブランド価値も上がる。(例えばクライアントの顧客情報などを代行して収集、管理する企業にとってはここの事が上場による目的になる。)
上場による利益はまだあるが、デメリットも多い。
例えば市場に公開することで会社は公共の物になる。英語では非上場企業をPrivate Companyといい上場企業をPublic Companyという。これによりヘッジファンドによる買収もありうる。
又、上場によって新たに監査役などを配置したりコンプライアンス対策などに膨大なコストがかかる。
例えばP2Pなどのファイル共有ソフトによる情報流失を防ぐため、社内使用のパソコンを全てシンクライアントに変えるなど、一時的ではあるが数千万から数億円ものコストを要する。
又、新興市場に上場することは敢えて企業価値を下げてしまう事もある。
新興市場ではないのだが、例えばあるコンサルティング企業が東証2部に上場した際、既に内定を出した新卒学生から辞退の連絡があったという。「2部」という市場に上場しているということから両親が心配した為だ。今まではそのようなことはなかったが、敢えて2部上場を出すことによって、どうしても1部よりも低く見られてしまうのかもしれない。
IT企業など多くのベンチャー企業が少しでも早く上場しようとしていた時、新興市場は活気づき、VCも元気だった。
しかし「上場」をただ単に目標にし、一刻も早く達成しようと無理をすると却って会社にとって悪影響をもたらす場合もある。例えば人材の流失だ。上場によって大金を得られるのはごく一部だ。わずかばかりのストックオプションを与えられただけの一般社員にとっては上場によってハードワークを強いられるデメリットの方が大きい。そうなると仕事を楽しむ又は自発的に行える環境から強いられる環境になり、結果優秀な人材は離れていってしまうのではないかと思う。
私も会社を設立するのであれば株式上場は魅力的な一つの目標にする思う。しかしその魅力とは裏腹にデメリットもあると言うことをしっかり熟知しなければならないと感じた。